訪問コンサルティングで初めて放課後等デイサービスに伺った際、最初にアドバイスさせていただくことが多いのが「その日のお子さんの来所時間を明確にする」ことです。
放課後等デイサービスは、その名の通り放課後に利用してもらう都合上、お子さんごとに学校が終わる時間と学校から施設に来るまでの移動時間がまちまちです。そのためお子さんの来所時間が一定しません。また、お子さんを送迎する施設では、スタッフのうち誰が送迎に出て誰が施設内にいるのかも時間帯によって変わります。
このことが計画的な発達支援やスタッフ間の役割分担を極めて難しくさせています。
訪問コンサルティングでは、この難しさに対処するために、午前中にスタッフ同士で、その日誰が何時にどの学校に迎えに行き、どの子を乗せて、何時に帰ってくるのか、確認しあいながらホワイトボードに書き出す習慣を作ります。
そうすることで、どの時間帯にどのお子さんが施設にいて、どのスタッフが対応可能なのか、各人がイメージできている状態を作ります。
これまでそうした習慣がなかった施設の場合、この作業を進めていく過程で、こんな会話が聞かれることがよくあります。
「あれ?今日Aくんってお休みじゃないですか?」
「『やっぱり行きます』って昨日お母さんから電話があったのよ」
「そうなんですね。それならAくんには個別対応が必要なのでスタッフのEさんについてもらいましょう」
「今日4時からソーシャルスキルトレーニングやる予定ですけど、私の車は今日D校からG校を廻っていくので、両校の子どもたちは4時には帰ってこられないですね」
「じゃあトレーニングの時間は短くなってしまうけど、4時15分から開始にしましょう」
その日の支援を円滑にすすめる上でとても大切なやり取りですが、逆にいえば今までこうしたやりとりをしてこなかったので、毎日のように連絡の行き違いや想定外の出来事が起こって、計画通りに支援が進まなかったと考えられます。
来所時間が明確になると、スタッフも見通しをもって計画的にお子さんと関わることができ、そのことは子どもたちの落ち着きとして現れてきます。これが支援の質の向上の第一歩になるのです。
「その日のお子さんの来所時間を明確にする」
言葉にしてみれば、全く専門的でない、ごく当たり前のことです。問題は、こういう話が、当たり前過ぎて発達支援や療育の専門家からは教えてもらえず、参考書や厚労省のガイドラインにも書いていないことです。
しかし実際の現場ではこうした当たり前の部分がネックになって、専門的な支援に踏み込めないでいることが多いのです。
このコラムでは、放課後等デイサービスの支援の質向上につながるように、ポイントを絞って解説をしていきたいと思います。皆様の施設運営の一助になれば幸いです。
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