コンサルタントコラム

Vol.5 全体スケジュールの確立

STEP2では、全体スケジュールを明確にし、ホワイトボードに書き出すことが課題の一つとなります。

スケジュールの書き方について、

  • 「おやつ」
  • 「しゅくだい」
  • 「トレーニング」
  • 「かえりの会」

といった具合に、項目だけが書かれて時間が書かれていないケースがよくあります。なぜかと聞くと、「日によって、またお子さんによってもかかる時間が違うので・・・」という答えが返って来る場合がほとんどです。つまり、日によってお子さんの来所時間が異なる上に、お子さんごとにおやつや宿題のペースが違うので、何にどれくらい時間をかけるか決められないのです。

かといって、おやつや宿題の時間を決めないでいた場合、何時になったらお子さんたちが発達支援(上記予定表では「トレーニング」と記載)に取り組める状態になるのか、予測できません。帰りの時間は決まっているので、結果的にその日の子どもの様子をみて発達支援の時間自体を増減させることで帳尻を合わせるしかなくなります(このとき指導員同士の相談が起きてお子さんから目が離れがちになります)。

こうなると、日によって発達支援にかけられる時間が45分だったり30分だったり15分だったりと一定せず、その時間すら発達支援が始まる直前にならないと決まらない状態に陥ります。これでは計画的な発達支援など望むべくもありません。

ですから、全体スケジュールは

  • 15:30~15:45 「おやつ」
  • 15:45~16:05 「しゅくだい」
  • 16:05~16:50 「トレーニング」
  • 16:50~17:00 「かえりの会」

といった形で、事前に始まりと終わりの時間まで明確に計画し、その時間にあわせて子どもたちが動けるよう指導員が促す必要があります。

このとき、「おやつや宿題を決められた時間通りに終わらせられない子はどうするのか?」という疑問が残ります。そうした子にたいしては個別に指導員がついて対応します。全体スケジュールが確立して、子どもたちの動きに見通しがついて指導員の役割分担も明確になっていれば、個別対応が必要になる子がいた場合でも、どの指導員が対応するのか事前に話し合って計画的に対応することができます。

もし時間通りに終わらない子が多くいると予想されるのであれば、そのときは全体スケジュールの方を調整しておやつや宿題の時間を長くとり、先のケースとは反対に早く終わった子に個別対応する形にすればよいのです。

 

いずれにしても、全体の計画が確立してはじめて、計画的で無理のない個別対応が可能になるのです。

 

 全体スケジュールを組むことにたいして、「お子さんをルールで縛り付ける」といった表面的な理解で反対される方もいます。しかし、実際には全体スケジュールを決めずに行き当たりばったりの対応をするほうが、そのときの指導員の都合でお子さんに無茶な要求を押し付ける結果になりがちなので注意が必要です。

 

なお、幅広い発達段階のお子さんが通う放課後等デイサービスの場合は、それぞれのお子さんたちに無理のないスケジュールで過ごしてもらうために、最終的には発達段階で分けたグループごとに複線化されたスケジュールを設定することが多いです。

その場合でも、何もスケジュールがないところからいきなり複数のスケジュールを組むのではなく、まずは教室全体のスケジュールを確立させて、そこから時間をかけて子どもたちにとって無理のないグループ分けやスケジュールを模索していくのがよいでしょう。