コンサルタントコラム

vol.3 褒める・共感する言葉がけを増やす

訪問コンサルティングにおいて、指導員の皆さんにもっともアドバイスすることが多いのが、「お子さんへの指示・注意の言葉がけを減らし、褒める・共感する言葉がけを増やしましょう」ということです。

数多くの放課後等デイサービスを訪問する中でわかってきたのは、「子どもたちが荒れている施設ほど、指導員の言葉がけが指示や注意に偏っている」ということです。

施設のルールを守らなかったり、暴言・暴力のような問題行動を繰り返すお子さんが複数いるとき、指導員は「ルールを守らなかったり問題を起こす子がいないか見張って、何かあればすぐ指示する・注意する」という意識に偏り、褒める・共感する言葉がけが少なくなりがちです。

しかし、そもそもお子さんが問題を起こすのは、指導員に言葉をかけてほしかったり、自分がやっていることに注目してほしかったりすることが理由である場合が多いのです。そのため、指導員がお子さんの望ましい行動に対して褒める・共感する言葉がけをせず、望ましくない行動に対して指示したり注意ばかりしていると、お子さんとしては望ましくない行動をしたほうが指導員の言葉がけや注目を得られるので、結果として問題行動が増えるという悪循環が生まれます。

そうならないように、お子さんが問題行動を起こすのに先んじて、指導員がお子さんの望ましい行動を褒めたり、関心をもって取り組んでいることに共感する言葉がけを行うことが大切です。そのことを理解していただくためにこんな伝え方をしています。

「お子さんに指示や注意を聞いてもらおうとするなら、それ以上に褒める・共感する言葉がけを増やしましょう。手始めに、今日一日、お子さんにかけた言葉の中で、『指示する・注意する言葉がけ』と『褒める・共感するの言葉がけ』、どちらが多かったか振り返ってみましょう。もし『指示・注意』の方が多いようだったら、まずは明日その割合が5:5になるように意識して言葉をかけていきましょう」

褒める・共感する言葉がけが増え、お子さんが「自分のことを気にかけてもらえている」「自分は注目してもらえている」と感じられるようになると、施設のルールに反するような行動や、暴言・暴力のような問題行動は目に見えて減ってきます。そうなれば指導員としても指示・注意の必要性が減り、ますます褒めたり共感したりできる心の余裕ができるという良い循環が生まれます。